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子ども1人でも野球練習ができる環境を整えたい

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週末は学童野球のコーチもしている吉村さんは商品開発の中心人物。これまで数多くのトレーニング用品を開発してきたアイデアマンだ

前回はフィールドフォースの歴史についてお聞きしました。今回はフィールドフォースが開発してきたさまざまな野球トレーニング用品について、開発当時のエピソードをまじえながら伺いました。

これまでに150以上のアイデア商品を開発

――起業して最初に開発した商品はどんなものですか?

吉村 いまも品番は当時のままで売っていますけど、「バッティングネット」です。最もベーシックなタイプですね。創業時から他社にあまりないトレーニング部門の商品に特化してという方針ではあったのですが、当然大きい規模というわけにはいかないですから。お客さんからオーダーを頂いて、それに対して商品を納めていくというカタチでスタートしたんですけども。

図1最初に開発した商品はベーシックなバッティングネット。低価格で小さく収納できることで人気に。いまでは定番商品となった

――パッと見は普通のバッティングネットに見えますね。どこに工夫が?

吉村 個人ユーザーをターゲットに開発したんです。この商品が出るまではチームユーザーさん向けの大型タイプしかなくて、フレームも太くて溶接されていて非常に重かったんです。商品特長としては、各フレームが一本一本解体できて小さく梱包できるようになっています。ネットも使う時だけセッティングして使えるように面ファスナーにしてすぐに剥がせるようにしたんです。フレームも軽量化を図って、小さく収納もできて。車一台止めるスペースがあれば設置できて実戦的な実打練習ができる、そういうネットはなかったんですね。

大貫 画期的だったのはフレーム全体が受球面になっていて、どこに打ってもボールを受け止めてくれるという点です。他の商品は真ん中のポイントにボールを打たなければいけなかった。これはもう他にないものだったので、どのお店でも置いて頂けるような定番商品になりましたね。

吉村 売価設定も良かったんです。1万円を切る価格で。それまで常設タイプのものは3万円以上しましたからね。

――ロングセラー商品はどれですか?

吉村 2番目に開発した商品「オートリターンネット」ですね。サイズ感は「バッティングネット」とまったく一緒ですけど、ネットの下にスロープを設けたんですね。通常はトスバッティングするときはパートナーが1人いて100球打つならボールが100球必要ですよね。不経済じゃないですか。この商品はトスするパートナーは必要ですが、ボールは100球も要らない。3、4球あれば打ち込んだボールがスロープをつたって自動的に手元に戻ってくるので、それを取ってトスすればいいだけです。スロープの取り付け位置を変えられるので、右バッター左バッターのどちらでも練習できます。

大貫 少ないボールで効果的、経済的なバッティング練習ができるというネットで、意匠と実用新案を取っています。

図2バッティングネットにスロープを取り付け、ボールが手元まで戻ってくるアイデアを取り入れたもの。少ないボールでも効率的に練習できる

――思い入れのある商品というと?

吉村 うちの商品の場合、体積が大きくてどうしても売り場陳列で売りにくいものが多いんですね。そのために最初はまったく売れなかった商品がひとつあって。設立2、3年目に開発した「バッティングネットオートリターン」という商品なんですけど。

大貫 小売店のバイヤーさんに見せたら、すごく気に入ってくれて10店舗でテスト販売してみようということで200台作りました。お店に箱を並べてポップも置いて売り始めたんですけど、2か月くらい経ったところで「ぜんぜん売れないですね」という話になってしまった(笑)。200台投入して180台くらい引き上げたんですね。

吉村 室内でも使えるように穴あきの柔らかいボールにして、5、6秒間隔でボールが正面から電動でトスされるというもので、1人で手軽にトスバッティングの練習ができるというアイデア商品です。自信はあったんですけどね。

大貫 いい商品だけど売れないねと。そのときにベースボールタウンさんというサイトがあるんですけど、そこの社長さんと偶然知り合って。そのサイトで子どもが実際に使っている説明動画を入れて売り始めたら、飛ぶように売れて在庫があっという間になくなっちゃった。もしあのとき動画を作っていなかったら、この商品はそのまま終わっていたかもしれないですね。

図3動画解説を付けることで大ヒット商品に化けた「バッティングネットオートリターン」。まっすぐ打ち返せば、1人だけでも半永久的にトスバッティングができる

吉村 おかげさまでベストセラー商品となって、ユーザーさんからは実際の打感が欲しい、電池の消耗が早いなど、たくさんのご意見を頂きました。100%の商品はないと常に思っているので、「プレーヤーの真の力になる。」という経営理念に沿って、改良していったんです。打感が欲しい人には「ウレタンボール」を用意しましたよ、電池の消耗が気になる人には電池不要のゼンマイ式の商品を作りましたよ、という感じで、改良を重ねていきました。「いつでも気軽に省スペースで最大限の練習効果を」というのが、我々の野球トレーニング用品の大きなコンセプトです。商品は6つのキーワード、「簡単組み立て」「楽々移動」「省スペース」「パートナー不要」「実戦感覚」「繰り返し練習」を意識して、プレーヤーの真の力になりたいと企画開発をしています。

大貫 この「バッティングネットオートリターン」は「261」という品番ですが、これを使って成長して甲子園に出場した人たちがいて、261世代と呼ばれているらしいんですよ。

子どもたちが週末以外にも練習できる環境を作りたい

――トレーニング用品の企画開発はどんな風に?

吉村 仕事でも実際のプレーヤーとしても、野球はずっとやっていました。いまは週末に学童野球のコーチもやらせて頂いています。なので、子どもたちが練習する場面で「こんなのがあったらいいな」というのが企画するときの基本ですね。ちょうど10年前くらいから学童野球の環境がガラッと変わったんですね。チーム練習というのが週末だけになってしまって、平日練習はなくなって。さらに子どもたちが練習する場所もなくなってしまった。たとえば東京都の条例では公園や校庭ではバットを振ったり、ボールを投げたりしちゃいけないわけですよ。そこで、じゃあ子どもたちが1人でも練習できる環境を作ろうと。個人ユーザーにターゲットを絞っていったのです。

野球禁止の看板都条例により、野球ができる環境が激減した。公園など、いたるところに野球禁止の看板が立てられている

大貫 週末だけだとなかなか上達はしないですよね。しかも週末はもういきなり試合になってしまいます。そうなると、上手い子はどんどん上手くなるけど、そうでない子はなかなか上手くなるチャンスがありません。

吉村 私たちの時代というのは平日でも校庭や公園で野球練習ができていました。でも少子高齢化の問題もあって、チームの数が減って野球離れが進みましたよね。我々、好きなスポーツを仕事にしていましたから、なんとか野球に貢献したいという想いは人一倍強くて。それで思いついたのが、1人でも練習できる環境、練習器具を世に出したい、というのが最初ですよ。

(次回:「BALLPARK」を足立区の野球文化の拠点にしたい)


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